労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)第2条による改正後の労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第62条の2第2項の規定に基づき、高年齢者の労働災害防止のために必要な事項を定めた指針を公表され令和8年4月1日より適用されます。
高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(旧ガイドライン:)は、令和8年4月1日の「高年齢者の労働災害防止のための指針」の適用にあわせて廃止されます。

旧ガイドライン:との主な違いは、次のとおりです。
1. 法的根拠と位置付けの明確化
• 新指針: 労働安全衛生法第62条の2第2項の規定に基づき、事業者が講ずるよう努めなければならない措置として策定された、より公式な指針(公示第1号)です。
• 旧ガイドライン: 高年齢労働者が安心して働ける環境づくりや健康づくりを推進するために、事業者や労働者が取り組むべき事項を示したものでした。なお、旧ガイドラインは令和8年3月31日をもって廃止されます。
2. 体力把握の対象と目的の拡大
• 新指針: 身体機能の低下は高年齢者に限らないため、事業場の実情に応じて青年・壮年期から体力チェックを実施することが望ましいと明記されました。また、病気や怪我による休業からの復帰時に、休業前後の体力を比較して客観的に状況を把握することも有効であるとしています。
• 旧ガイドライン: 主に高年齢労働者を対象とした継続的な体力チェックを推奨していました。
3. リスクアセスメントにおける優先順位の明示
• 新指針: リスク低減措置を検討する際、以下の優先順位で実施することが明記されました。
1. 危険な作業の廃止・変更(設計・計画段階での除去)
2. 手すりの設置や段差解消などの工学的対策
3. マニュアル整備などの管理的対策
4. 身体負荷を軽減する個人用装備の使用
• 旧ガイドライン: リスクアセスメントの実施は求めていましたが、新指針ほど具体的な優先順位の枠組みは強調されていませんでした。
4. 職場風土と相談体制の重視
• 新指針: 高年齢者が孤立せず、自身の不調やリスクを相談できる**「風通しの良い職場風土づくり」**や、企業内相談窓口の設置の有効性を強調しています。また、働きやすい職場づくりが労働者のモチベーション向上につながるという認識の共有も求めています。
• 旧ガイドライン: 相談窓口や風通しの良い職場づくりについては言及がありましたが、新指針ではより詳細に考慮事項として挙げられています。
5. 外部機関・地域との連携の具体化
• 新指針: 職域保健と地域保健の連携(地域・職域連携推進協議会の活用)や、健康保険組合(保険者)との連携による健康づくりの推進(コラボヘルスなど)といった、外部リソースの活用がより具体的に示されています。
• 旧ガイドライン: 国や関係団体の支援活用の項目はありましたが、新指針では地域保健や保険者との連携が独立した項目としてより詳しく説明されています。
6. 業種別の特性への配慮
• 新指針: 小売業や飲食店、社会福祉施設などの第三次産業において、家庭生活と似た作業のために危険を認識しにくいリスクがあることや、製造業・建設業・運輸業などの高いリスクを伴う現場との身体機能の違いに留意するよう求めています。
• 旧ガイドライン: 第三次産業への言及はありましたが、新指針ではそれらの業種におけるリスクの見つけ方(他事業場の好事例の参考など)がより具体化されています。
これらの違いにより、新指針はより体系的かつ予防的なアプローチを、若年層を含む全社的な取り組みとして求めていると言えます。